タオルソムリエ山本BLOG、第四弾のテーマは「タオルの織り方」
株式会社中村 ドリームコットン研究所
タオルソムリエ 山本和弘です。
一年を通して、みなさんの日々の生活に欠かすことのできないタオル。
その織り方をご存じですか?
今回は一般的にタオルに使われることの多いパイル地の織り方をご紹介します。
代表的なタオルの織り方、パイル地
パイル地とは?
パイル地とは、丸いループ状の糸が織り込まれた生地のことです。
両面をパイルにしたタオルがもっとも有名ですが、スウェットの裏地にも片面パイルが使われているので思い浮かぶと思います。
このパイルは空気を含む、弾力のあるふわっとした肌触りと吸水性・保温性・保湿性に優れた生地です。
一般的な織物とタオルの一番の違いです。
パイル地はどうやって織るの?
一般的な織物は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の2本の糸で生地に織り上げます。
しかし、タオルは地糸となる経糸(たていと)と緯糸(よこいと)に、さらにパイルとなる経糸を加えた3本の糸を織り込むテリーモーション構造で織られます。
一般的な織物は経糸を強く張った状態で織り上げるのに対し、タオルは地経糸を強く張り、パイル経糸を緩めに張って、3本目の緯糸と交差させてパイルを形成します。
簡単に言うとループ状(輪っか)を作る糸が増えるということ。
このパイルによってタオルは、一般の平織物よりも厚みがある生地になります。
このテリーモーション・パイル織がタオルとしては一番基本的な織り方です。
詳しく知りたい人は下の図を見て下さいね。
一見馴染みのない経糸(たていと)・緯糸(よこいと)という呼び方
地図の経度・緯度と同じように、織物の縦方向に通っている糸を経糸・横方向に通っている糸を緯糸と言います。
パイル地のパターンは色々
織り上げる時の経糸と緯糸の本数(密度)で風合いの異なるタオルができます。本数が多く糸の密度が高ければ、しっかりとしたタオルになりますが、その分、重くなりコストも上がります。また、密度の高いタオルだから良いタオルと言うわけではありません。タオルを使う人を考えて密度と肌さわり・風合いのバランスがタオルつくりには大切です。
さらに、タオルの用途や目的に応じてパイルに使用する糸を選び、やわらかいタオルをつくるときは、撚りの甘い糸を使用。反対にかたくてさらっとした清涼感のあるタオルをつくるときは撚りの強い糸などを使用します。
タオルで一番気になる肌触りや吸水性そして、速乾性、耐久性なども織り方によって異なります。
パイルの部分の糸はタオルの長さの5~8倍
このタオルのパイル部分は、タオルの長さの5~8倍の1本の糸を、ループ状に弛ませ横糸で挟むことによって織られているので、引っかけて抜けてしまうことがあるのが難点ですが、タオルは洗濯を繰り返す事で少し縮むためパイルは抜けにくくなります。しかし、新しいタオルや柔軟剤によって糸が滑りやすくなったタオルは、パイル糸が抜けやすいこともありますが、織り方で説明した通り、地糸でしっかりと押さえていますので、抜け出した糸をハサミで切っても大丈夫です。
最後に
いかがでしたでしょうか。
今回は「パイル地の織り方」のお話でした。
タオルの風合いを決めるのは、織り方・糸の打ち込みの密度の他に、綿花の種類・糸の太さ・撚回数やタオルが出来上がったあとの加工方法などたくさんの要素があります。
タオル作りって本当に複雑で奥が深いのです。
みなさんに好みやライフスタイルに合ったタオルを見つけて頂ける様、タオルソムリエブログでは色々な情報を発信していきたいと思います。
ご質問がありましたら、今後ブログで回答していきますので、「お問い合わせ」ページから、タオルソムリエに質問とお書きの上、送信してください。
タオルソムリエ 山本BLOG、更新は不定期ですがvol.5もお楽しみに。